善意の人々
昭和50年4月
30才
人との出会いを大切に、多くの人を知ることは大きな人的財産です
会社の資金繰りは暗礁に乗り上げたままの状態に懐は火の車であった。そんな中、故郷の父母に電話で近況を話 していると、すぐに話題は建物の事、お金の事になった。私はいつも「大丈夫だから心配しなくていいよ」と答えたが、その都度「要、大丈夫かい、本当に大丈夫かい」と何度も何度も念を押して聞いてきた。
しばらくして父母から「家に有るだけのお金を掻き集めて送った」とたくさんのお金を送ってくれた。時を同じくして、現金為替が送られてきた。封筒には何百万円もの大金が入っていた。送り主は父の弟の北九州の正志叔父であった。お金の話はしていなかったが、私の気持ちを察し、何も言わずに送ってくださったのだ。
それから、平石盛敏夫妻、高比良正信さん、兄弟達、私からお願いした訳ではないのに、善意の心で自発的に多額のお金を期限なしで融通してくださった。この困難に直面し、窮地に追い込まれていた時にであった。あまりの嬉しさに言葉にならず、感謝の心で下げた頭を上げることが出来なかった。
これほどまでの思いやりと心遣いをして下さる友人、一緒に働く仲間、叔父達、兄弟達、父母、その他大勢の方々にどんな言葉を持ってしても言い表す事が出来ない。つくづく私は幸せ者であった。
内装の工事を請け負って下さった川又さんにも追加工事代金の支払いが遅れ、ご迷惑をお掛けした。 -皆様に平伏-
(その後、左隣の土地を取得、後年右隣の敷地も購入、300坪の敷地に本社社屋、独身寮、駐車場を構えることになった)